09/12/02神話完結 -エメンテト・レ-

Emehntehtt-Re / Magma

コンタルコスとは人の名前であり、"コンタルコス・アンテリア"は彼の青年時代の苦悩と運命を描いた1連の絵画のような音楽である。やがて自らの天命を知った覚者コンタルコスは古代エジプトの大導師エメンテト・レの墓に入りある秘密を伝授される。

去る5月のMAGMA来日公演で全編披露されたコンタルコス・ストーリー完結編「エメンテト・レ」。そのスタジオ盤ついにリリース!
70年代から、いくつもの音源で断片的に発掘された「エメンテト・レ」の欠片。その全貌が本作にて明らかにされる。

プタハ神を巡る覚者コンタルコスの壮大なストーリーと、それに相対するクリスチャン・ヴァンデの精神世界。MAGMAの音楽を紐解くにはまだまだ時間がかかるが、ここでは本作「エメンテト・レ」が発する音楽についてのみ語ることにする。
というのも、他の追随を許さない、否、もはや他とは別次元に位置するこの音楽に、僕はまた打ちのめされたからだ。

「エメンテト・レ」には、Kohntarkosz - K.A.と続く組曲の続編だけあって、複雑に展開するパートの中にもそれらのフレーズが度々垣間見れる。Kohntarkosz、De Futura...その中でもキーだと感じるのがHhaiの一節。
#2 Emehntehtt-Re IIでのクリスチャンによるボーカルから、電撃的なフィルインと同時に入り込むこのメインフレーズ、あまりの感動に涙が出てきた。
重厚なコバイア・コーラスで描かれる光と闇のシンフォニックな情景はHhaiで感じるそれと似ている。

ただし、本作は完成された組曲であるという事を忘れてはいけない。
神秘的なピアノの旋律、コバイア語の美しい語感、縦横無尽に広がるベース、そして宇宙との交信をはかる強烈なドラミング、全てが一丸となって、壮大なオーケストレーションへと昇華させた、MAGMAの新たなる大傑作となっている。

本作は"Kohntarkosz"などに比べても音の分離が完璧に成されていて、それぞれの楽器が独立したリズムを作り出している事が分かる。
付属の1万字を超えるクリスチャンのインタビューでは、"シンコベーション"や拍子とリズムの不一致についても言及していて興味深い。そのあたりを意識してみるとMAGMAが生み出す巨大なグルーヴの真相が見えてこない気がしないでもない。

一触即発の緊張感を生み出す演奏、聴き手のイマジネーションを無限に広げる至宝の楽曲。
未完として約30年間保管されていたとはいえ、結果的に再構築に近い形で完成を見た「エメンテト・レ」は、今現代でもクリスチャンはじめZeuhlの面々が稀代の音楽家として君臨していることを証明している。ハマタイ!

Seventh Records MAGMA "Emehntehtt-Re"

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09/11/08理想的ブラック・スラッシュ

Violent Revenge / Nocturnal

ジャーマン・ブラック・スラッシャー:Nocturnalの09年2nd。
ジャケから想像できる音そのままを具現化したダーティサウンドと、女声デスボイスをフロントに、ダークなスラッシュを硬派一徹に展開する正攻法ブラックスラッシュ!
ローファイな80'sスラッシュサウンドでもって、Sodom、Kreatorに通じるジャーマンスラッシュの伝統を引き継いだ攻撃性を武器にイーヴルな世界を築きあげる。

<Vo>Tyrannizerは女声といえども全く心配には及ばない。#1 Hellhuntでのっけからシャウト~不敵な笑い声で聴き手をNocturnaの暗黒空間へと引きづりこむ。こんなカッコイイ女声デスボイスは未だかつて聴いたことがない。

楽曲はKreator「Extreme Aggression」やSodom「Agent Orange」といったジャーマン・スラッシュの超名作に肉薄する、有無を言わせない攻撃性を備えていて、嫌らしくならない程度にブラックメタルの演出的な部分をプラス。比率で言うと8:2くらい。
この絶妙なブレンド具合が功を成していて、耳に残るリフ、しかし抜群の疾走感を保持した、まさにブラック・スラッシュとしか言い様の無い楽曲に仕上がっている。お見事!

頭を突き動かさざるを得ない狂乱のリズムを叩き出す<Ds>Hellbastardのプレイが若かりし頃のデイヴ・ロンバードそっくりで、コレで不協和音のツインリードなんかが入ると...という禁じえないサガは引っ込める事にして、1人でも十二分にイーヴル・スラッシュをこなす"邪悪なる復讐者"こと<G>Evil Avengerも素晴らしい。オカズとして繰り出す小刻みなギターがいちいちカッコイイ。

耳→脳→体ではなく耳→体→脳。
ダイレクトに体を突き動かす全10曲。はしゃいでたら終わってた、そんな作品だ。

#Hellhunt

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09/11/08パラドックス、ノンストッパブル

Riot Squad / Paradox

伝説のジャーマンスラッシャー、Paradoxが昨年の復活作「Electrify」から1年のインターバルを経て早くも新作をリリース!
隠れた名盤として誉れ高い89年作「Heresy」のドラマティックスラッシュ路線をそのままハイブリット化させ、パワーメタルとの接近を見せた「Electrify」だったが、本作「Riot Squad」では更にスピード、メロディック度が増し、リミッターが切れたかのように迷いが全く感じられない素晴らしい出来栄えだ。

あくまでスラッシュ然とした突進力でもって叩きつけるリフリフリフ。スピード感を殺さずに切り込んでくる激情のメロディックギター。アルバムほぼ全曲をスピーディーなナンバーで固め、聴き手に息をつかせない。
驚くのはジャーマンオヤジのそのメタル魂だ。90年代に入り完全に下火となったB級~C級スラッシュメタルバンドが今こうして若者を怖気づかせるほどのアグレッションを持ったメタルを奏でている。

どう見ても普通のオジサンなルックスの<Vo,G>チャーリー・スタインハウアーは、それこそ若者に説教するかのように頑固一徹な歌とリフを聴かせる。ルックスは対照的ながら、ミレ・ペトロッツァに通じる気難しさ、否、カリスマ性を持ったオジサンだ。

作品は「Heresy」のタイトルトラックのような全メタラーを狂喜乱舞させる煽情的な楽曲でビッシリ敷き詰められていて、昔ながらのザクリフをそのままアップデートさせたシャープで精巧な音作りも素晴らしい。
ヨーロピアン・スラッシュならではの湿り気あるメロディ、その中でも特に「ああジャーマンだ」と感じさせるどこか退廃的で冷たい感触。

Kreator、Artilleryに続く2009年至宝の激情スラッシュはParadoxで決まり。

Riot Squad OFFICIAL TRAILER

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