09/04/30知ってる悪魔のほうがいい

The Devil You Know / Heaven & Hell

僕が思うHR/HM至上最高のバンド、ディオ編成時のBlack Sabbath、もといHeaven & Hellの新作「The Devil You Know」。ついにこの時が来た。
まさかリアルタイムでこのバンドのリリースを体験できるとは夢にも思わなかった。それだけにこの新作には期待せざるを得ないし、思い入れの強い作品になることはまず確実だろう。

07年の来日時、最前列正面でこのバンドを見れた事は一生忘れない。僅か5メートル先にトニー、ロニー、ギーザーが並び立つ光景は、それこそ三闘神が舞い降りたかのような、威厳に満ち溢れたものだった。

本作「The Devil You Know」にもその"威厳"は満ち満ちている。
初期2作に対する「様式美サバス」の要素は希薄だが、今までの作品に共通して存在した「コントラストの美」は変わらずに存在している。作品は「Dehumanizer」を更にヘヴィにした重く冷たいプロダクションで、一貫して人間の暗黒面を謳ってゆく。

#1 Atom And Evil
幕開けは原点回帰のダークサイド・オブ・ブルーズ。ロックの暗黒面を表現するBlack Sabbath本来の存在意義を感じる曲だ。ヴィニーの重たく無機質なドラミングが三闘神を際立てる。原子と邪悪。誰も逆らえない反戦ブルーズ。

#2 Fear
グルーヴ渦巻くドゥームリフ、光が劈くようなトニーのソロ、ロニーの噛み締める地獄の抒情詩は、抜群の説得力をもって聴き手を叩き伏せる。

#3 Bible Black
神。

#4 Double The Pain
ついに刻み始めたトニー&ギーザー。リフに興奮するド級ヘヴィナンバー。

#5 Rock And Roll Angel
十八番炸裂、これぞ本家の引きずりリフに導かれ、ロニーのドラマティックな歌唱が冴え渡る。いかにもHeaven & Hellらしい、アルバムでも特に好きなナンバーだ。ソロの美しさにはただただ涙。改めてギタリスト:トニー・アイオミの凄みを感じとれる。

#6 The Turn Of The Screw
これまたアイオミ節炸裂ナンバー。ロニーが歌い、ギターも歌う。

#7 Eating The Cannibals
作品唯一の疾走曲。威厳の満ちたミドルナンバーが埋め尽くす本作中でも際立つ曲だ。弾きまくりのトニー/ギーザーがカッコよすぎる。

#8 Follow The Tears
危険度高い作品中最重チューン。オリジネーターによるドゥームメタルは、ねっとりと歌うロニーの表現力と相俟って、前人未到の暗黒ロックを生み出す。砂漠で棺桶を引きずる姿が浮かぶスラッジナンバー。

#9 Neverwhere
過去作なら暗いほうの曲かもしれないが、本作に並ぶとアッパーな曲だ。それほどに本作は過去作と比べ特に重たい。キャッチーなサビメロがない分、本作はトニーのソロが異様に際立って聞こえる。

#10 Breaking Into Heaven
重遅リフ一貫のドゥーム曲で作品は幕を閉じる。天国をブチ壊すと歌う老人達。ルールを変えてやると歌う老人達。いつまでもロックだ。

本作は「Heaven And Hell」「The Mob Rules」のようなメロディ主体の様式美的要素はあまりない。個人的にはロニーの歌メロがもっと欲しかったが、ただ"表現力"というロニー・ジェイムス・ディオ最大の武器一点においては十分に発揮されていると言えるだろう。衰えたなんてとんでもない。

トニー&ギーザーのプレイは最高。特にトニーが放つソロの表現力は衰えるどころか更に強まって聞こえる。
聞き終わった後もずっと頭にこびりつくギーザーのベースラインは本作でも一緒。ほんと不思議。

ロックの暗黒神は王座に居座る事はない。今も昔も先頭に立ち続けている。
メロディ志向でないだけで駄作と決め付けるのは愚かすぎる。「モダン化」なんて言葉は程遠い、ヘヴィ・ミュージックの本質を捉えた演奏と楽曲、一貫したメッセージ性、聴けば聴くほどに味濃くなるアルバムに仕上がっている。

#Bible Black

#Rock And Roll Angel

#Follow The Tears

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