08/11/09浮遊体感 ~地球を感じる音楽~

Panopticon / Isis

Panopticon

重圧浮遊空間構築バンドISISの名盤「Panopticon」。04年発表。

Neurosisのフォロアーと言われがちだが、ヘヴィなだけにはとどまらない幅広い音空間を奏でるバンドだ。
その音は、根底にはハードコアが存在するものの、Sigur Rósのような美しさも兼ね備えている。すなわち、ヘヴィロック的観点からはこのバンドの良さはあまり伝わらないかもしれない。

この作品はポストロック/ポストメタル作品の中でもかなり僕のお気に入りであると同時に、僕の中のポストロック観を決定付けた作品だ。

まずコンセプトと音楽が尋常ではないほどリンクしている。
タイトルのPanopticonとは刑務所などを監視する全展望監視システムの意で、ジャケットにはその監視映像と思わしき航空写真が使われている。
まず初聴の方はそのことを頭に入れておいて、再生ボタンを押していただきたい。

#1 So Did We。この作品が尋常じゃないことに気づくだろう。1リフでこんな感覚を味わうことはそうそう無い。CD再生と同時にこの航空写真を撮影しているヘリの中にいるのだから。

このまま作品はこの空から地上を、いや地球全体を見下ろした視点で進んでいく。

壮絶すぎた1曲目のトリップからさらに抜け出させまいとする、美旋律アルペジオと無機質なディストーションリフが交互に押し寄せる#2 Backlit。そして浮遊感をさらに浮き立たせ、無重力の恐怖すら感じさせる#3 In Fictionと続いていく。

さらなるビジョンが待ち受けるのは#5 Syndic Callsからだ。
#4 Wills Dissolveは全7曲あるうちのまさに中間を成すべき曲で、「承」→「転」への橋渡り的役割を果たしている。
美と狂気は隣同士だという事を証明しているかのようなこの作品を象徴している曲だ。

#5 Syndic Callsはそれまでアンビエントさを強調する為、一定のリズムで進めてきたリズム隊が、転調しはじめる。
ディストーションもその激しさを増し始め、序盤の風景とは違うビジョンを写す。続く#6 Altered Courseは本作で最もヘヴィに始まる曲。それまで多用されていたアルペジオが影を潜めていき、ドラムとベースの重圧が増す。終盤ではギターすらが陰を潜め、静かに静かに完結へと誘う。

#7 Grinning Mouthsはこの作品を総括する美しく力強いエピローグだ。曲終盤に近づくにつれギターはうねりを上げ、ドラムの手数が増えていく。そしてその膨れ上がったエネルギーを一瞬で閉ざすという最良の終わりかた。・・・。

この作品は、始めは全て同じような曲が続くように感じられるが、聴き込んでいくうちに起承転結があることに気づく。
僕の中では#1 So Did Weが「起」、#2 Backlit~#3 In Fictionが「承」、#4 Wills Dissolveのモノローグを挟み、#5 Syndic Calls~#6 Altered Courseで「転」、 そして#7 Grinning Mouthsでこの無重力体験は「結」となる。

ここまで一貫した世界観を構築した作品はそうそう見当たらない。無駄な音もない。Judas Priestが僕の中のメタルであるように、ISISこそ僕の中のポストロックであり、最高のヒーリング音楽だ。

#So Did We

#Backlit(Live)

#Syndic Calls

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